2010/09/26 10:11:06
なんでも担任の先生に勧められた本「夜行観覧車」を読んでるんだそうですよ。
本の中の言葉や考え方をノートするんだそうです。
ちなみにくりおねは本に直接ラインを引いたり書き込んだりしますねぇ。
夜行観覧車 [著]湊かなえ
湊かなえの小説は、言ってみれば「負のエンターテインメント」である。映画も大ヒットしたデビュー長編『告白』以来、彼女が一貫して描き続けているのは、人間という生き物が持っている、どうしようもない愚かさ、弱さ、卑しさ、残酷さ、などなどの、浅いようで深い、深いようで浅い、なまなましくも儚(はかな)い真実の姿である。その赤裸々な露呈の舞台となるのは、家庭と学校。これでもかと繰り出される人の心のネガティヴさの連鎖攻撃は、読み進めるのが辛(つら)いほどのディープインパクトなのに、いつしかなぜだかハマってしまう。それは単なる露悪趣味とは違う、厭(いや)な話もとことん突き詰めれば、一種の痛快さを帯びてくるという事実の証明なのだと思う。
『夜行観覧車』は、高級住宅地で起こった親族殺人事件を描いている。他人からは何不自由なく見えたエリート医師の一家。なぜ突然、母親は夫を殺したのか? 家族の間に問題があった様子はなく、動機は杳(よう)として知れない。事件当夜、家に居たはずの中学生の次男が失踪(しっそう)する。一体、ほんとうに母親が犯人なのか? 友人宅に泊まっていて家に居なかった姉と、離れた土地に住む大学生の長男は、何とかして真相を知ろうとする。物語はこの家族〈高橋家〉と、中学生の娘の家庭内暴力を抱える向かい側の一家〈遠藤家〉を交互に描くことで進行してゆく。この作家が得意中の得意とする、登場人物たちの視点が多角的に交錯してゆくスタイルが何ともスリリングだ。
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異様なまでに淡々とした筆致でクールかつハードに活写されてゆく「救いの無さ」の徹底が、やがて奇妙なカタルシスを招き寄せ、ついには、あろうことか希望の光(のような何か?)さえほの見えてくる。不思議な魅力の小説だと思う。ここには確かに、今という時代が、いびつに、いや、正確に映し出されている。湊かなえの快進撃は、まだまだ続くことだろう。
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