2010/08/22 17:08:14
この記事は紗綾とは関係ないんですが、
どうしてもどこかで紹介したくって、DVDでも共演した
彼女のブログに載せることにしました。
少々長いですが、下の☆☆☆から続きが見れますんでよろしく。
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── 今回も怪談についていろいろお聞かせいただきたいのですが、もともと日本のそういう怪談文化というのは東洋の島国だから発生したと思われますか?
稲川:「ところがね、中国にもあるんですよ。"牡丹灯籠"なんてもともと中国から来たもの。でも日本でそういう文化が花開いたのはやっぱり島国の持つ感性なのかな。というのもね、中国は椅子の文化でしょう。畳じゃない。日本の畳を歩くすり足の音、それが近づいてくる感覚、畳で寝る感覚ってやはり独特でしょう。畳文化があるのは日本だけよ。そして一番わかりやすいのは屋敷の部屋。今日は集まりがあるというと各部屋の襖をすべてとっぱらってひとつの大きな広間にできますよね。で、襖をつけて閉めるとまた小さい部屋がいくつもできる。これってすばらしい文化なんですよ。その襖に耳をあてると隣の部屋の音が聞こえます。病人が寝ているとその吐息まできちんと聞こえる。寝息が聞こえると『あぁ落ち着いている。生きてる』とわかる。本人を見なくても隣の部屋の様子が手にとるようにわかる。他にも障子は閉まっており、その障子に陽射しがうっすら入ってくる。お客さんが来られて部屋の旦那さんと話しをされているとき、奥さんはどのタイミングで部屋に入ろうかなと悩むわけですよ。その躊躇している姿が障子に影が映ります。その影に気づいた旦那さんは『お入り』と言うでしょう。こんな文化ね、世界中探してもないですよ。影で部屋の外の様子を判断できるんだから。見えてないけれど感じ取る文化なんです」
── 感覚文化ですね。
稲川:「欧州にも怪談の季節ってあるんですよ。それが冬。寒い冬にさ、さらに寒くなっちゃうんだから、物好きだよね(笑)。反対に日本は、怪談の季節を夏にもってきたでしょう。これはおりこうさんですよ。暑い時期に寒くなるものをあてるんだから。理にかなっているでしょう。賢いのです。私みたいに怪談話を商売にしている人もいたんだろうから、夏の長い日を利用するというのもあったんでしょうね。夕方になるといい塩梅に日が暮れるし、涼しい風も吹き始めるしね。昔は灯りがないですから、舞台で怪談話をするときは障子をしめて、太陽の光を少し薄暗くしていたんだろうね。夕方になると障子や幕を少しあげたりすることで、灯りの調整もできたし、困ることはなかった。ほんと、各地にそういう文化があってみんな同じようにやっているんですよ。ちょっと話がずれますけれど、宝塚歌劇団と同じかもしれませんね。昔、宝塚は屋外で台詞舞台だったんですよ。夏の蝉の声がうるさくて台詞が遠くまで聞こえないから歌に変えた。すると舞台の隅々まで届いてお客さんは喜んだ。知恵ですよ。各地の怪談舞台もそうだったんじゃないかな」